2024年のパリオリンピックが閉会し、メダリストたちに対する賞金や待遇が注目を集めています。
国ごとに異なる報奨金額や対応の差について、どのような背景があるのでしょうか?この記事では、世界各国の金メダリストへの賞金額を比較し、その違いの理由やその他待遇の違いについてもについても解説します。
オリンピックのメダリストへの賞金とは?
まず、日本の金メダリストに対する賞金制度について解説します。「賞金」と言っても、メダルを獲得した選手たちは複数の方面から賞金や報奨金を受け取ることになっています。
①日本オリンピック委員会(JOC)の報奨金制度
日本では、金メダリストに対して日本オリンピック委員会(JOC)から500万円の報奨金が支給されます。ちなみにこの金額は令和2年度に改正され、それまでは300万円でした。
この報奨金は、選手の努力と栄誉を称えるものであり、全額が非課税として扱われます。銀メダリストには200万円、銅メダリストには100万円が支給され、こちらも同様に非課税となります。
これが世間一般で言われている「オリンピックでメダルを獲った選手がもらえる賞金」になります。
②各競技団体からの追加報奨金
①のJOCの報奨金に加え、各競技団体からも独自の報奨金が支給されることがあります。
例えば、日本ゴルフ協会では、金メダリストに対して2000万円の報奨金が支給されることが定められています。
となると、ゴルフ選手が金メダルを獲った場合、JOCから500万円、日本ゴルフ協会から2000万円の計2500万円は確実に受け取れることになります。すごい金額ですね!
この金額は、競技によって大きな差が生じます。また、この他にもスポンサーなどから報奨金を受け取るので、選手の知名度やスポンサー企業の大きさや数によって、さらに大きな差が生まれるでしょう。
このため、選手が得られる総額は、その競技種目や所属団体によって大きく変わることがあります。
③世界陸連による初の賞金制度
今回のパリオリンピックでは、世界陸連(World Athletics)が初めて賞金制度を導入しました。
リレーを含む48種目の優勝者やチームに対して、5万ドル(約750万円)の賞金が支給されることが決定しています。これはオリンピック史上初めての試みであり、選手たちにとって新たなインセンティブとなるでしょう。
しかし、一部では「オリンピックの精神に反する」との批判もあり、議論を呼んでいるようです。
世界各国のオリンピック賞金額の比較
今大会の日本勢「金」1号となった柔道女子48キロ級の角田夏実選手
続いて、各国の金メダリストに対する報奨金額を比較してみましょう。いくつかの国をピックアップしてみました。
日本の金メダリストへの報奨金とその特徴
日本の金メダリストにはJOCから500万円が支給されると前述しましたが、これは世界的に見ても控えめな金額です。
しかし、日本ではメダル獲得の名誉が非常に重視されており、金銭的報酬だけでなく、選手への敬意や社会的評価が大きな役割を果たしています。また、各競技団体からの追加報奨金や企業からのスポンサーシップ契約が、選手にとって今後の重要な収入源となることが多々あります。
最も高額な報奨金を提供するのはシンガポール!
一方、シンガポールは世界で最も高額な報奨金を提供している国です。シンガポールでは、金メダリストに対して約8,500万円(約100万シンガポールドル)が支給されます。
この高額な報奨金は、政府がスポーツ振興と選手の育成に力を入れていることを示しており、選手たちのモチベーション向上に大きく寄与しています。
少数精鋭の選手育成方針が取られているため、メダル獲得には特に大きな期待がかけられているようです。
アメリカやイタリアの金メダリスト賞金額
アメリカでは、金メダリストに対して3万7,500ドル(約550万円)が支給されます。
これはシンガポールに比べると少額ですが、アメリカでは多くの選手がプロとして活動しており、オリンピックでの報奨金が選手のキャリア全体に与える影響は比較的小さいです。(他の国の選手は学生や実業団の選手が多いです。)
アメリカの選手はスポンサー契約や広告収入など、オリンピック以外の収入源が豊富であるため、賞金だけが彼らのモチベーションの源ではありません。
またイタリアでは、金メダリストに対して約2,800万円(15万ユーロ)の報奨金が支給されます。イタリアでもメダル獲得は国民的な誇りとされており、政府や企業からのサポートが手厚いのが特徴です。
上記の表は、2022年時点の報奨金比較の表です。現在とは少し金額が変わっている国もあると思いますが、国によって大きな差があることがわかります。
このように、国によって報奨金やメダル獲得後の待遇はかなり異なるようです。
メダルを取れなかった場合の国ごとの対応
逆にメダル獲得が期待される選手が結果を残せなかった場合、その対応は国ごとに異なります。ここでは、日本、韓国、北朝鮮の例を見ていきましょう。
日本におけるメダルを逃した選手への対応
日本では、メダルを逃した選手に対して比較的寛容な対応が取られます。
オリンピックはあくまで挑戦の場であり、結果が全てではないという考え方が一般的です。選手は次の大会に向けての経験を積むことができたと評価され、スポーツ団体やスポンサーからも継続的な支援が行われます。
選手自身もオリンピックで得た経験をもとに次の目標を設定し、新たな挑戦を続ける姿勢が奨励されます。
アメリカやヨーロッパ諸国をはじめ、多くの国が似たような対応で、基本的にはメダルが獲得できなくても、選手たちを讃える精神が根付いています。
韓国のメダルを逃した選手へのプレッシャー
韓国では、特にメダル獲得が期待される競技においてメダルを逃した選手に対するプレッシャーが非常に強いと言われています。
韓国社会においては、スポーツの結果が国の誇りや威信に直結すると考えられており、メダルを獲得できなかった場合、選手や監督が批判を受けることがあります。
また、中国も同様、体操や卓球などの特に注目されている競技では高成績を収められなかった場合にバッシングを受けることがあります。
このような状況は、選手にとって大きな精神的負担となることもありますが、同時に次の大会に向けた準備を支援するためのサポートも行われます。
北朝鮮の厳しい対応と国際的な批判
北朝鮮では、メダルを獲得できなかった選手に対して厳しい対応が取られることが報じられています。
特にメダルが期待されていたにもかかわらず結果を出せなかった選手や監督に対しては、罰則が科される可能性があるとされています。具体的には、強制労働や社会的な制裁が行われることがあるとされ、選手たちは大きな恐怖の中で競技に臨んでいると伝えられています。
このような厳しい対応は国際的にも批判を受けており、選手たちの人権を無視したものとして問題視されています。
まとめ
オリンピックにおける金メダリストへの報奨金額や、メダルを逃した選手への対応は国によって大きく異なります。
それぞれの国が抱える経済状況やスポーツ文化、政府の方針が反映されており、選手たちはその中で最大限の努力を続けています。パリオリンピックでは、各国の金メダリストがどのような報奨を受けるのか、そして選手たちがどのように評価されるのか、今後も注目が集まることでしょう。