夏の甲子園で注目を集めた京都国際高校の校歌。京都国際高校の校歌が韓国語である理由には、学校の設立背景や歴史が大きく影響しています。
この記事では、校歌に込められた意味や批判される理由、学校の成り立ちや生徒の国籍などについて詳しく解説します。
京都国際高校はどんな学校?
京都国際高校は、日本国内でも珍しい多文化共生を理念とした学校です。この学校の校歌が韓国語であることには、深い歴史的背景があります。
1947年に設立された京都国際高校は、元々在日朝鮮人のための「京都朝鮮中学」としてスタートしました。その頃の効果が変わらず今も歌い継がれているわけです。このように京都国際高校の校歌が韓国語であることは、学校のルーツや文化を象徴しています。
京都国際高校の校歌に込められた歴史的背景
京都国際高校が設立された1947年は、戦後の混乱期でした。この時期、日本に住む在日朝鮮人たちは、自らの言語や文化を守るために独自の教育機関を必要としていました。
京都朝鮮中学としてのスタートはその時代のニーズに応えるものであり、韓国語教育・韓国式教育が中心となっていました。
韓国語での校歌の歌詞とその意味
京都国際高校の校歌の歌詞は韓国語で書かれており、その内容は学校のルーツや韓国への誇りを象徴するものとなっています。
校歌というものは、学校や学生のアイデンティティを象徴する重要な要素ですが、夏の甲子園の舞台で韓国語の校歌が流れることに多くの人が違和感を感じており、その歌詞の意味にも大きな注目が集まりました。
詳しくは下の「誤訳問題とその影響」の段落で解説しています。
京都国際高校の多文化共生の理念と校歌の関係
京都国際高校は、多文化共生を理念に掲げています。韓国語、日本語、英語の三言語教育を通じて、生徒たちは異なる文化や言語を尊重し、国際社会で活躍できる人材として成長することを目指しています。
校歌が韓国語であることは、この理念の象徴であり、学校の多様性を反映したものです。このような教育方針により、生徒たちは異文化理解を深め、グローバルな視野を持つ人材へと成長していくことが期待されています。
京都国際高校の校歌が批判される理由
京都国際高校の校歌が韓国語で歌われていることには、一定の批判が寄せられています。特に、誤訳問題や文化的・政治的背景が、その批判の根底にあります。
誤訳疑惑とその影響
歌詞には「東海」や「大和の地」といった表現が登場し、韓国の文化が重要な要素となっています。「東海」というのは韓国から見た時の日本海を意味する言葉で、韓国側で書かれた歌詞だということがよく分かります。
京都国際高校の校歌の韓国語歌詞にある「東海」という表現が、日本語訳で「東の海」と訳されて放送されたことが問題視されました。
「東海」という表現は、韓国が日本海を指す際に使用する名称であり、日本では一般的に認められていないため、この訳が誤訳であると指摘されています。
日本海というと日本のもののような感じがするという理由から、韓国側は東海(トンへ)という表現を使いたいという政治的主張が昔からあるようです。とするとこの歌詞にも政治的意図がありそうに感じますね。
これについては詳しくはここに書いてあったので気になる方は読んでみてください!
→ yahooニュース「甲子園出場の京都国際の韓国語歌詞「東海」を「東の海」 NHK、学校側意向で常態化」
この誤訳疑惑問題は、メディアや視聴者の間で議論を引き起こし、校歌への不信感を助長する結果となりました。
このように京都国際高校の校歌に対してネット上で物議が醸される状況になってしまいましたが、校歌の日本語化ができていない中で甲子園へ出場するにあたり、テレビ局は京都国際高校に対して校歌の翻訳の提出を求めたことがわかっています。
京都国際高校としては「東海」「韓国の学園」とそのまま表示すると、そこだけに過剰に反応する人がいたり、学校として政治的意図は皆無であるのにも関わらずあらぬ誤解を招いたりする可能性が高いと判断したため、意図的に意訳を行いました。
ですので決して誤訳ではなく、今の京都国際高校としてできる最大限の日本の私立学校としての配慮をされたことがわかりますね。
※歌詞について補足
歌詞は昔からのままトンへ(韓国から見たら日本海は東にある海なので)となっていますが、甲子園だからといって急に変えるわけにもいかず、実際に今も韓国の認可校でもあるので、とりあえずそのままになっているそう。
学校内部でも議論があり、日本語に変えるべきとの意見も根強く出ていますが、最終決定権を持つ理事会(=在日の老人たち)が難色を示しており実現には至っておらず。
ただ、彼ら(理事会)がこだわっているのは「韓国語」という点のみで、「東海」という言葉に特別な思いや何らかの意図はないようです(政治的な意図はゼロで、実際に学校として「日本海は東海だ」と主張したことは一度もありません)。
文化的・政治的背景が生む違和感
校歌が韓国語であること自体が、多くの日本人に違和感を与えています。特に「東海」や「韓日」といった表現は、日本国内での受け入れが難しいと感じる人々がいます。
これらの表現は、日韓関係の歴史的背景や政治的な問題に敏感な人々にとって、反感を抱かせる要因となっています。こうした背景から、校歌に対する批判が生まれているのです。
韓国語の使用に対する世間の反応
さらに、校歌が韓国語であることに対しては、多様な意見が存在します。
一部の人々は、韓国語の使用が学校の多文化共生の理念を象徴するものであり、尊重されるべきだと理解していますが、他方で、韓国語が主流でない日本の中で公然と使用されることに対して、不安や反発を感じる人々もいます。
また、日本国内にはキリスト教(ミッション系)の学校などで英語の校歌の学校は他にもあります。
なぜ英語の校歌だと何も言われないのに韓国語だと騒がれるのか?差別ではないか?という声も見られる反面、戦争の歴史を背景に在日韓国人のために朝鮮学校が日本国内につくられた、という流れを考えると適切ではないという声が上がるのも無理ないかなとも思ってしまいます。
このような意見の相違が、校歌に対する批判を生み出しているのです。
京都国際高校の歴史と成り立ち
京都国際高校は、戦後の日本における在日韓国人社会の歴史と深く結びついています。その独自の教育理念や多文化共生の精神は、設立当初から現在に至るまで大切にされ続けています。
1947年の創立と朝鮮学校としてのスタート
京都国際高校は、1947年に在日朝鮮人のための「京都朝鮮学校」として設立されました。戦後の混乱期に、在日朝鮮人たちは自らの言語や文化を守り、次世代に伝えるための教育機関を必要としていました。
この学校の設立はその時代のニーズに応えるものであり、初期の段階では韓国語教育が中心となり、韓国の文化や歴史に重点を置いたカリキュラムが組まれていました。
また、学校設立当初は「京都朝鮮学校」という名称でしたが、この朝鮮というのは当時朝鮮と韓国という国の区別がなかったため付けられたものです。したがって京都朝鮮学校は設立時から「韓国学校」であり、北朝鮮とは一切の関わりはありません。
京都には名前のよく似た「京都朝鮮中等学校(いわゆる朝鮮学校)」がありますが、京都国際高校とは一切関係がないことがわかっています。
京都国際高校の教育理念とトリリンガル教育
現在の京都国際高校は、多文化共生を掲げ、韓国語、日本語、英語の三言語教育を積極的に行っています。
このトリリンガル教育は、グローバル社会で活躍するための基盤を築くものであり、生徒たちは異なる文化や言語を尊重し、多様性を理解する力を養います。
学校の教育理念は、言語や文化の違いを超えて、国際的な視野を持つ人材を育成することにあります。
また、気になる日本への感情についてですが、教職員・生徒とも反日ではないことがわかっています。
実際、現在は旭日旗に嫌悪感を示すこともなく、学校行事で君が代を歌う場面もあるそう。
そして授業では学習指導要領に従い「東海」ではなく「日本海」と教えられていることがわかっています。元々は韓国学校であったことは事実ですが、現在では他の日本の学校と遜色ない内容の授業が行われているそうです。
京都国際高校の現在の生徒の国籍の割合
京都国際高校には、在日韓国人、日本人、韓国からの留学生、さらには中国籍の朝鮮族など、多様な国籍の生徒が在籍しています。なお、現在の生徒の国籍の割合は約7割が日本人となっています。
また、京都国際高校は通名使用を原則として禁止しているので、夏の甲子園で活躍している選手たちももちろ
つまり選手たちは日本名なら日本人
ちなみに全校生徒の男女比は半々くらいですが、京都国際高校に通う男子生徒の約9割は野球部所属なんだそう。つまり、野球の強豪校として京都国際高校を選ぶ男子生徒が大半だということです。
京都国際高校出身の有名人は誰がいる?
京都国際高等学校出身の著名人には、主にプロ野球選手が多くいます。
以下はその一部です:
- 濵田泰希(北海道日本ハムファイターズ)
- 杉原望来(広島東洋カープ)
- 長水啓眞(福岡ソフトバンクホークス)
- 森下瑠大(横浜DeNAベイスターズ)
- 中川勇斗(阪神タイガース)
- 早真之介(元福岡ソフトバンクホークス)
- 釣寿生(元オリックス・バファローズ)
- 上野響平(北海道日本ハムファイターズ→オリックス・バファローズ)
- 清水陸哉(元福岡ソフトバンクホークス)
- 曽根海成(福岡ソフトバンクホークス→広島東洋カープ)
- 申成鉉(元広島東洋カープ、韓国・斗山ベアーズなど)。
これらの人物は、京都国際高等学校の卒業生として、スポーツ界で活躍しています。さすが野球の強豪校ですね!
校歌をめぐる議論と学校の対応
京都国際高校の校歌が韓国語であることに対してはさまざまな議論が巻き起こっていますが、学校側はその背景にある歴史や多文化共生の理念を強調しています。
校歌の歌詞や言語は、学校のアイデンティティを象徴する重要な要素であり、これを守り続けることが京都国際高校の方針です。学校は批判や議論に対しても、誤解を解くための説明を行い、理解を深めるための努力を続けています。
まとめ
京都国際高校の校歌が韓国語である理由は、その歴史や多文化共生の理念に深く根ざしています。
誤訳や文化的背景から生じる批判もありますが、学校はその教育方針を貫き、異文化理解を深める教育を続けています。今後も、京都国際高校はグローバルな視野を持つ人材を育成するための重要な役割を果たし続けるでしょう。