「更新なし」の定期借家、2026年にファミリー層が知っておくべき家賃動向

賃貸物件を探していて、「この物件は定期借家です」と説明され、戸惑った経験はないでしょうか。普通の賃貸契約とどう違うのか、家賃は高いのか安いのか、判断しづらいまま候補から外してしまう方も少なくありません。

いま東京23区では、この定期借家の家賃上昇が加速しています。とくに専有面積70平方メートルを超えるファミリー向けの大型物件で、その傾向が顕著です。2026年に公表された最新の調査データでも、その勢いははっきりと数字に表れています。契約期間が満了すると更新されずに終了する定期借家は、貸し手が家賃を設定しやすい構造を持っており、それが上昇の背景にあります。

本記事では、定期借家と普通借家の違いを整理したうえで、最新データをもとに家賃動向を読み解き、ファミリー層が契約前に確認すべきポイントまで解説します。物件選びで後悔しないための判断材料として役立ててください。

もくじ

定期借家とは?普通借家との違い

定期借家とは、あらかじめ定めた契約期間が満了すると、更新されずに契約が終了する賃貸借契約のことです。一般的な賃貸契約である普通借家との最大の違いは、この「更新の有無」にあります

普通借家では、契約期間が満了しても借り手が住み続けたい場合、法律上の保護(法定更新)によって原則として契約が更新されます。貸し手側から更新を拒否するには「正当事由」が必要で、そのハードルは高く設定されています。つまり、借り手は長く住み続けやすい仕組みになっています。

一方、定期借家では期間満了とともに契約が確定的に終了します。引き続き住みたい場合は、貸し手と借り手の双方が合意して「再契約」を結ぶ必要があり、貸し手側に再契約に応じる義務はありません。貸し手にとっては、期間満了のタイミングで家賃を見直したり、契約を終えたりする自由度が高い契約形態だといえます。

この構造の違いが、後述する家賃水準の差につながっています。借り手にとっては住み続けられる保証が弱い分、貸し手にとっては物件を柔軟に運用しやすい。この非対称性が定期借家の本質です。

【2026年最新データ】東京23区ファミリー向け物件、定期借家の家賃が急上昇

不動産情報サービスのアットホーム(東京・大田)が、自社サイトに登録・公開された賃貸物件を調査したところ、東京23区のファミリー向け大型物件で定期借家の家賃上昇が鮮明になりました。2026年に公表された最新の集計結果です。

対象となったのは専有面積70平方メートルを超える物件です。直近の2025年度における定期借家の平均募集家賃は46万4387円で、前年度(2024年度)比で7.0%の上昇となりました。これに対し、普通借家の平均募集家賃は34万5986円。定期借家は普通借家を実に34.2%も上回る水準です。

この上昇には、前年度からの「反転」という文脈があります。実は2024年度、この大型ファミリー向け区分の定期借家家賃は東京23区を含む複数エリアで前年度比下落していました。それが2025年度には一転して上昇に転じており、単なる横ばいの延長ではなく、明確な潮目の変化として現れている点が特徴です。

注目すべきは、家賃の絶対額だけでなく伸び率でも定期借家が上回っている点です。普通借家の上昇率が4.7%高であるのに対し、定期借家は7.0%高。つまり、もともと高い定期借家の家賃が、より速いペースで上がり続けているということになります。

この数字は、ファミリー向けの大型物件において、貸し手が優位に家賃を設定しやすい市場環境にあることを物語っています。広さのある物件を求める層にとって、定期借家という選択肢の家賃負担が年々重くなっている実態が、2026年時点でも続いていることが浮かび上がります。

コワニ
家族向け物件の家賃、想像以上に上がっていて驚きますよね。

なぜ定期借家は家賃が高くなりやすいのか

では、なぜ定期借家の家賃は普通借家より高く、しかも上昇しやすいのでしょうか。理由は大きく三つあります。

一つ目は、貸し手側の価格設定の自由度です。普通借家では一度貸し出すと借り手が長期間住み続ける可能性が高く、途中で家賃を大きく引き上げることは容易ではありません。しかし定期借家であれば、契約期間の満了ごとに家賃を見直せます。貸し手は市場の相場上昇を家賃に反映させやすく、結果として強気の価格設定がしやすくなります。滞納や長期の占有といったリスクを避けやすい点も、貸し手が定期借家を選ぶ動機になっています。

二つ目は、管理コストの上昇分を転嫁しやすいという事情です。物価高により建物の維持・修繕費や光熱費などの管理コストが上昇を続けるなか、貸し手にとって定期借家は、その上昇分を契約更新のタイミングで家賃に反映しやすい契約形態です。更新義務のある普通借家に比べ、コスト増を価格に転嫁するスピードが速くなりやすい構造があります。

三つ目は、ファミリー向け大型物件そのものの供給の限られやすさです。都心部において70平方メートルを超える広さの賃貸物件は、単身者向けやコンパクトな物件に比べて数が多くありません。需要に対して供給が絞られやすい市場では、貸し手が主導権を握りやすく、家賃は上がりやすくなります。近年は都心のタワーマンションなどハイグレード物件で定期借家が活用される例も増えています。

コワニ
広い部屋を探すほど選択肢が減る、この感覚は共感できます。

こうした背景もあり、東京23区における定期借家の割合は2025年に初めて約1割に達し、2023年の5.8%から大きく上昇しました。区別に見ると渋谷区が18.1%と突出して高く、都心6区を含む12区で1割を超えています。とりわけ大型のファミリー向け物件ほど定期借家の比率が高い傾向にあり、広くて家賃の高い物件ほど「更新なし」の契約が定番化しつつある状況がうかがえます。

これらの要因が重なることで、定期借家のファミリー向け大型物件は、貸し手にとって有利な条件で貸し出せる「売り手市場」の様相を強めています。借り手にとっては、選択肢が限られるなかで高い家賃を受け入れざるを得ない場面が増えているといえるでしょう。

ファミリー層が定期借家物件を検討する際の注意点

家賃動向を踏まえたうえで、実際に定期借家のファミリー向け物件を検討する際には、いくつか押さえておきたい確認事項があります。

まず最も重要なのは、再契約の可否と条件を事前に確認することです。定期借家は期間満了で終了するため、子どもの学区や通勤の都合で長く住み続けたい家庭にとっては、退去を迫られるリスクがあります。再契約に応じてもらえる見込みがあるのか、その場合の家賃はどうなるのかを、契約前に仲介会社を通じて確認しておきましょう。

コワニ
💬 子どもの学区のことを考えると、退去リスクは切実な問題です。

次に、契約期間そのものと退去時期の見通しです。定期借家の契約期間は物件によってさまざまで、数年単位のものもあれば、貸し手の事情で短めに設定されているものもあります。ライフプランと照らし合わせ、期間満了のタイミングが家族の生活に無理なく収まるかを見極めることが大切です

あわせて、契約書に家賃改定に関する条項がないか、更新料や再契約時の費用がどうなるかも確認しておきたいポイントです。定期借家は貸し手の自由度が高い分、条件が物件ごとに異なります。「更新がない=短期しか住めない」と一律に敬遠する必要はありませんが、自分たち家族の住まい方に合う契約かどうかを、契約前にしっかり見極める姿勢が欠かせません

まとめ

東京23区のファミリー向け大型物件では、定期借家の家賃上昇が加速しています。2026年に公表された最新調査によると、直近2025年度の定期借家の平均募集家賃は46万4387円で前年度比7.0%高、普通借家を34.2%上回り、伸び率でも普通借家を上回りました。前年度は下落していた区分が一転して上昇に転じた点も見逃せません。背景には、貸し手が家賃を見直しやすい定期借家の構造、管理コスト上昇分の転嫁のしやすさ、そして大型物件の供給が限られやすい市場環境があります。

定期借家は必ずしも避けるべき契約ではありませんが、更新がないという特性上、再契約の可否・契約期間・家賃改定条項の確認が欠かせません。家賃が上昇を続けるいまだからこそ、契約前に条件をていねいに見極め、家族の暮らしに合った住まい選びを進めていきましょう。

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