「伊能忠敬界隈」という言葉が、2024年の夏ごろからSNSを中心に注目を集めています。
この表現は現在、長距離を歩くことを好む人々を指すもので、元ネタは江戸時代の測量家・伊能忠敬に由来すると言われています。
しかし、単なる健康志向や趣味としての歩行だけでなく、精神疾患との関連も指摘されています。
また、似たようなインターネットスラングである「風呂キャンセル界隈」との比較を通じて、これらの言葉が示す社会的な背景についても考察してみましょう。
伊能忠敬界隈とはどんな言葉？
「伊能忠敬界隈」がSNSで広まった経緯
「伊能忠敬界隈」という言葉は、2024年7月末頃からSNS上で広まりました。
そのきっかけとなったのは、あるX（旧Twitter）ユーザーが投稿した「19時〜4時まで40km歩いた」という内容です。
この投稿が話題となり、長距離歩行を好む人々の間で「伊能忠敬界隈」という表現が使われるようになりました。
伊能忠敬の名前にちなんだこの言葉は、彼のように長い距離を歩くことを象徴的に表現しています。
どんな人々を指すのか
「伊能忠敬界隈」という言葉は、以下のような人々を指します。
まず、1日に非常に長い距離を歩くことを好む人たちです。これには、健康維持のために毎日歩く人々や、単に歩くことが好きで趣味としている人々が含まれます。
また、ストレス発散や気分転換を目的として長時間歩く人々、考え事をしながらふらふらと歩く人も含まれるそう。
さらにSNSでは、仕事の一環として長距離を歩く必要がある人々、例えばゴルフのキャディや住宅地図調査員なども「伊能忠敬界隈」と言われているようです。
伊能忠敬界隈の元ネタ
伊能忠敬とは？
江戸時代後期の測量家、伊能忠敬の功績
伊能忠敬は、江戸時代後期の日本を代表する測量家であり地理学者です。
彼は日本全国を歩いて精密な地図を作成したことで広く知られています。驚くべきことに、彼が測量を始めたのは56歳の時で、それ以前は商人として生活していました。
彼の測量活動は17年間にわたり続けられ、その成果は現代の日本地図の基礎を築きました。
彼は、73歳で亡くなるまでの17年間にわたり、全国を9度にわたって測量し、その総歩行距離は約4万キロメートルに及んだと言われています。
これは地球の赤道を一周する距離に匹敵します。このような偉業が、「伊能忠敬界隈」という言葉が長距離歩行を好む人々を表す際のインスピレーションとなったのです。
そう聞くと、「伊能忠敬界隈」ってネーミングセンスありますよね（笑）
伊能忠敬界隈と精神疾患の関連性
伊能忠敬界隈は、元々は精神疾患の症状を表していた？
「伊能忠敬界隈」という言葉は、一部では精神疾患の症状と関連付けられています。
特に、うつ病や不安障害を抱える人々が、ストレスを和らげるために過度に歩行することが報告されています。
歩くことで一時的に気分を紛らわすというか、無意識的にあてもなくふらふらと歩き続け、精神的な苦痛を軽減する手段として長距離歩行が選ばれることがあるのです。
長距離歩行が精神疾患の症状とされる理由
ストレス発散や孤独感との関連
長距離歩行がストレス発散の方法として選ばれる理由の一つは、その単調さとリズムが精神を落ち着かせる効果を持つことです。
このため、日常生活のストレスを解消するために長時間歩くことが習慣化する場合があります。
しかし、一人で長時間歩くことが孤独感を増すこともあり、社会的孤立感を深める可能性も指摘されています。
過度な行動のリスク
過度な長距離歩行は、強迫的な行動の一種と見なされることがあります。
自分を追い込むように歩き続けることは、身体的にも精神的にも大きな負担をもたらします。
睡眠不足や過度の疲労が精神状態に悪影響を与えるリスクも高まります。
これらの過度な行動は、精神疾患の悪化を引き起こす可能性があり、注意が必要です。
精神的健康への影響
適度な運動はうつ症状の軽減に役立つ一方、過剰な運動はストレスホルモンの増加を引き起こし、精神的な疲労感を高める可能性があります。
したがって、「伊能忠敬界隈」に属する人々も、自身の行動が健康に与える影響があるかもしれないと知っておくべきです。
風呂キャンセル界隈と比較してみる
風呂キャンセル界隈とは？
風呂キャンセル界隈の意味と由来
「風呂キャンセル界隈」という言葉は、日常的に入浴を控える人々を指すスラングです。入浴を面倒に感じて「もう今日お風呂入らなくていいや〜」とお風呂に入ることを諦めてしまう人たちを指します。
また、女性によく使われる言葉のようです。
どんな人々を指すのか
この界隈に属する人々は、日々の疲労やめんどくささから入浴を省く選択をする人々が多いとされています。もしかしたら節約や省エネを重視しての行動もあるかもしれません。
伊能忠敬界隈と風呂キャンセル界隈の共通点と相違点
両者の共通する特徴と違い
「伊能忠敬界隈」と「風呂キャンセル界隈」はどちらもインターネット上で生まれたスラングで、一般的な生活習慣とは異なる行動を指す点で共通しています。
しかし、目的には違いがあります。
元々、前者は気を紛らわせるためにあてもなくふらふらと歩くことを目的とするのに対し、後者は単なる面倒くささを理由に入浴を避ける行動を示します。
精神疾患との関連性の考察
「伊能忠敬界隈」と「風呂キャンセル界隈」はどちらも精神疾患との関連性が指摘されています。
伊能忠敬界隈では、長距離歩行がうつ症状の軽減策として機能するがあてもなくふらふらと歩きすぎるのは良くないという点、風呂キャンセル界隈はセルフネグレクト（自己放任）の一形態と見なされることがあります。
どちらも極端な行動パターンが見られるため、精神的な健康を維持するためには、過度に行きすぎた行動は控えたほうがいいということが言えるでしょう。
まとめ
「伊能忠敬界隈」と「風呂キャンセル界隈」は、どちらも現代の生活習慣の中で生まれた新しい表現です。
それぞれが持つ行動の背景には、健康維持やストレス発散、節約や省エネといった現代特有の価値観が影響しています。
しかし、これらの行動が過度に行われることで、精神的な健康に悪影響を及ぼす可能性もあります。自分の行動が健康的な範囲内であるかを常に意識し、必要に応じて専門家の助言を求めることが大切です。
