2026年分の路線価が公表され、全国の平均が前年を上回って上昇を続けていることが明らかになりました。路線価は土地の評価に用いられる重要な指標のひとつで、上昇は相続税の負担にも関わってきます。土地を所有している方や、将来の相続に漠然とした不安を抱えている方にとって、「早めの備え」の大切さがあらためて意識される結果といえるでしょう。
この記事では、今回の路線価上昇のポイントを整理したうえで、相続税との関係、そして生前にできる備えの基本を、一般的な情報としてわかりやすく解説します。個別の試算や判断ではなく、まず全体像をつかむための入り口として役立てていただければと思います。

2026年分の路線価が5年連続で上昇
全国平均2.9%上昇という今回の結果
国税庁が公表した2026年分の路線価は、全国の標準宅地の平均が前年を2.9%上回り、5年連続の上昇となりました。この上昇率は、現在の算出方法となった2010年以降で最大です。近年は都市部を中心に地価が回復・上昇する傾向が続いており、今回の結果もその流れを反映したものといえます。
土地の価格が上がること自体は、資産価値の面では前向きに受け止められる一方で、相続という場面では税負担の増加につながる可能性があります。「土地を持っているだけで、相続時の負担がどう変わるのか」を気にかける方が増えているのは、こうした背景があるためです。
コワニそもそも路線価とは何か
路線価とは、主要な道路に面する土地の1平方メートル当たりの価格を示したもので、国税庁が毎年公表しています。相続税や贈与税を計算する際に、土地の評価額を求める基準として用いられる点が大きな特徴です。
土地の価格を表す指標には、実際の取引で成立する「実勢価格」や、公的機関が示す「公示地価」などいくつか種類があります。路線価はそのなかでも税額計算に直結する指標であり、一般的に公示地価のおおむね8割程度を目安に設定されるとされています。つまり、私たちが相続の場面で向き合う土地の評価は、この路線価が土台になっているのです。
路線価が上がると相続税にどう影響するのか
路線価と土地の評価額の関係
相続税を計算するうえで、土地は「相続税評価額」という金額に置き換えて考えます。市街地にある宅地の多くは、路線価をもとに評価する「路線価方式」が基本です。実際には土地の形状(奥行や間口など)に応じた補正を加えたうえで面積を掛け合わせて計算するため、「路線価×面積」はあくまで概算の目安と考えておくとよいでしょう。
したがって、路線価が上がれば、同じ広さの土地であっても評価額は高くなります。土地そのものの形や広さが変わったわけではなくても、指標となる路線価が上昇すれば、相続税の計算上の土地の価値は増えることになるわけです。ここが、路線価の動向が相続に関わってくる最初のポイントです。


評価額が上がると相続税の負担が増える仕組み
相続税は、亡くなった方が残した財産の合計額をもとに計算されます。土地の評価額が上がれば、財産全体の額も大きくなり、その結果として相続税の負担が増える可能性が出てきます。
相続税には、一定の金額までは課税されない「基礎控除」が設けられています。財産の合計がこの基礎控除の範囲に収まっていれば相続税はかかりませんが、土地の評価額の上昇によって財産の合計が基礎控除を超えると、課税の対象となることも考えられます。これまで相続税とは無縁だと考えていた家庭でも、地価上昇によって状況が変わる可能性がある——という点は、意識しておきたいところです。
相続の備えの第一歩「財産の棚卸し」
どんな財産を洗い出すのか
相続の備えとしてまず取り組みやすいのが、「財産の棚卸し」です。これは、どのような財産がどれだけあるのかを一覧にして把握しておく作業を指します。
対象となるのは土地や建物といった不動産だけではありません。預貯金、株式や投資信託などの金融資産、生命保険、自動車や貴金属といった動産まで、幅広く含まれます。あわせて、住宅ローンや借入金などのマイナスの財産も忘れずに書き出しておくことが大切です。プラスとマイナスの両方を整理することで、はじめて全体像が見えてきます。



棚卸しをしておくメリット
財産を棚卸ししておく最大のメリットは、相続の際に「何が、どこに、どれだけあるのか」を家族が把握しやすくなることです。財産の所在がわからないまま相続を迎えると、手続きに時間がかかったり、思わぬ見落としが生じたりすることもあります。
また、あらかじめ全体像がわかっていれば、相続税の負担がおおよそどの程度になりそうかという見通しも立てやすくなります。備えが必要かどうかを判断する材料にもなり、次に紹介する生前贈与などの対策を検討する出発点にもなります。まずは現状を「見える化」することが、あらゆる備えの土台になるといえるでしょう。
生前贈与という備え方の基本
生前贈与の基本的な考え方
生前贈与とは、財産を持つ人が生きているうちに、家族などへ財産を渡しておくことをいいます。相続で一度に多くの財産が移るのではなく、あらかじめ少しずつ財産を移しておくことで、将来の相続時の財産を調整するという考え方が基本にあります。
贈与には贈与税がかかりますが、一定の範囲内であれば課税されない仕組みや、目的に応じた制度が用意されています。こうした制度を上手に活用しながら、計画的に財産を渡していくことが、生前贈与を備えとして考える際のポイントになります。


制度を利用する際に知っておきたい留意点
生前贈与にはいくつかの方法があり、代表的なものとして、毎年一定額まで非課税で贈与できる考え方や、相続時にまとめて精算する制度などがあります。近年はこれらの制度に関するルールの見直しも行われており、贈与した財産が相続税の計算にどのように関わってくるかは、時期や制度によって扱いが異なります。
そのため、「贈与すれば必ず負担が軽くなる」と単純に考えるのではなく、それぞれの制度の内容や最新のルールを踏まえて検討することが欠かせません。制度の詳細や自分のケースへの当てはめについては、正確な情報を確認したうえで慎重に進める必要があります。
早めの備えが安心につながる
備えを始めるタイミング
相続の備えは、「まだ先のこと」と後回しにされがちです。しかし、財産の棚卸しや生前贈与といった対策は、時間に余裕があるほど選択肢が広がるという特徴があります。特に生前贈与は、長い期間をかけて少しずつ進めることで効果を得やすい面があるため、早く始めるほど落ち着いて計画を立てられます。
路線価の上昇が続くなかで土地の評価額が高まっていくことを考えれば、「気づいたときが始めどき」といえます。まずは現状を整理するところから、無理のない範囲で着手してみるのがよいでしょう。
専門家への相談も選択肢に
相続や贈与に関する制度は複雑で、しかもルールが改正されることもあります。財産の状況は家庭ごとに異なるため、一般的な情報だけでは判断が難しい場面も少なくありません。
具体的な相続税の試算や、自分のケースに合った対策の検討が必要になったときは、税理士などの専門家に相談することも有力な選択肢です。専門家の力を借りることで、制度を正しく理解したうえで、自分に合った備えを進めやすくなります。この記事はあくまで全体像をつかむための一般的な解説であり、実際の判断にあたっては最新の情報と専門家のアドバイスを確認することをおすすめします。





まとめ
2026年分の路線価は全国平均で2.9%上昇し、5年連続の上昇となりました。路線価は相続税を計算する際の土地評価の基準となるため、上昇は相続税の負担増につながる可能性があります。
こうした流れのなかで大切なのが、生前からの備えです。まずは財産の棚卸しで現状を「見える化」し、必要に応じて生前贈与などの対策を検討していく——この基本的な流れを知っておくだけでも、相続への向き合い方は変わってきます。早めに準備を始め、必要な場面では専門家の力も借りながら、安心して相続を迎えられるよう備えていきましょう。








