不動産相続に係る税金は?初めての方向けに解説

親から実家や土地を受け継ぐことになったとき、多くの方が最初に不安を感じるのが「税金」の問題ではないでしょうか。相続とひと口に言っても、かかる税金は一つではなく、しかも不動産は現金と違って評価の仕方が独特です。この記事では、不動産を相続したときにどんな税金が関係してくるのか、その基本的な仕組みをはじめての方にもわかりやすく整理して解説します。

コワニ
「相続の手続きだけでも大変なのに、税金のことまで考える余裕がない」という方も多いのではないでしょうか。まずは全体像をつかむことから始めれば大丈夫です。一つずつ整理していきましょう。
もくじ

不動産相続でかかる税金は主に2種類

不動産を相続したときに関係してくる税金は、大きく分けて2種類あります。財産を受け継いだこと自体にかかる「相続税」と、不動産の名義を変更する手続きにかかる「登録免許税」です。

相続税(財産を受け継いだときにかかる税金)

相続税は、亡くなった方(被相続人)の財産を受け継いだときに、その財産の総額に応じてかかる税金です。不動産だけでなく、預貯金や株式なども含めた財産全体が対象になります。ただし、後述するように一定額までは非課税の枠が設けられているため、すべての人に相続税がかかるわけではありません。

登録免許税(名義変更=相続登記でかかる税金)

不動産を相続したら、その不動産の名義を故人から相続人へと変更する手続きが必要です。これを「相続登記」といい、この登記の際にかかるのが登録免許税です。相続税とは別の税金であり、相続税がかからないケースでも登録免許税は発生します。

「不動産取得税」は相続では原則かからない

不動産を購入したときには「不動産取得税」という税金がかかりますが、相続によって不動産を取得した場合には、原則としてこの税金はかかりません。売買や贈与と混同されやすい点なので、覚えておくと安心です。

そもそも相続税とは?基本の仕組み

不動産相続を理解するうえで欠かせないのが、相続税そのものの仕組みです。ここでは基本的な考え方を押さえておきましょう。

相続税がかかる財産の範囲

相続税の対象となるのは、現金や預貯金、不動産、有価証券、貴金属など、金銭的な価値のあるほぼすべての財産です。一方で、借入金や未払いの税金などの債務、葬式費用などは、財産から差し引いて計算されます。

基礎控除の考え方

相続税には「基礎控除」という非課税の枠があります。基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。たとえば相続人が配偶者と子ども2人の合計3人であれば、3,000万円+600万円×3人=4,800万円までは相続税がかからない計算になります。

相続税がかからないケースもある

財産の総額が基礎控除額の範囲内におさまっていれば、相続税は課税されず、申告も原則として不要です。実際、相続が発生しても相続税がかからないケースは少なくありません。まずはご自身のケースが基礎控除の範囲内かどうかを確認することが第一歩となります。

コワニ
「うちは財産なんて大したことないから関係ないはず」と思っていても、実家の土地・建物が含まれると基礎控除を超えることも珍しくありません。不安な方は、一度おおまかな財産額を書き出してみることをおすすめします。

不動産の相続税はどう評価・計算される?

相続税を考えるうえで、不動産ならではのポイントが「評価方法」です。不動産は購入価格や時価そのものではなく、決められたルールにもとづいて評価額が計算されます。

土地の評価方法(路線価方式・倍率方式)

土地の評価には、主に「路線価方式」と「倍率方式」の2つがあります。路線価方式は、道路(路線)ごとに定められた1平方メートルあたりの価格をもとに評価する方法で、主に市街地で用いられます。路線価が定められていない地域では、固定資産税評価額に一定の倍率をかける倍率方式が使われます。

建物の評価方法(固定資産税評価額が基準)

建物については、固定資産税評価額がそのまま相続税評価額として使われます。固定資産税評価額は、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書などで確認することができます。

現金と不動産で評価額が変わる理由

同じ価値のものでも、現金で持つ場合と不動産で持つ場合とでは、相続税の計算上の評価額が異なることがあります。一般に不動産の評価額は取引価格(時価)よりも低く算定される傾向があるとされ、これが不動産の評価の特徴といえます。

相続不動産の税負担にかかわる主な特例

相続税には、一定の要件を満たす場合に税負担を軽減できる特例が用意されています。ここでは代表的なものを2つ紹介します。

小規模宅地等の特例とは

小規模宅地等の特例は、故人が居住していた宅地などについて、一定の面積までその評価額を大きく減額できる制度です。要件を満たせば土地の評価額が大幅に下がるため、相続税に与える影響が大きい特例として知られています。

配偶者の税額軽減とは

配偶者の税額軽減は、亡くなった方の配偶者が財産を相続する場合に、一定額まで相続税がかからないようにする制度です。配偶者の生活保障などの観点から設けられているもので、こちらも税負担に関わる重要な制度です。

特例は「適用要件」があることに注意

これらの特例は、誰でも自動的に使えるわけではなく、それぞれ細かな適用要件が定められています。また、特例を使うためには相続税の申告が必要になる場合もあります。適用の可否はケースによって異なるため、慎重な確認が求められます。

相続登記にかかる登録免許税

相続税とあわせて押さえておきたいのが、名義変更の際にかかる登録免許税です。

登録免許税の基本的な計算方法

相続登記における登録免許税は、不動産の固定資産税評価額をもとに計算されます。相続税がかからない場合でも、名義変更をする以上、この登録免許税は発生する点に注意が必要です。

2024年から相続登記が義務化された点に注意

これまで相続登記は任意とされていましたが、2024年4月から相続登記が義務化されました。不動産を相続で取得したことを知った日から一定期間内に登記の申請をする必要があるため、「そのうちやればよい」と後回しにできなくなっています。

不動産を相続したら、いつまでに何をする?

相続に関する手続きには期限が設けられているものがあります。うっかり過ぎてしまわないよう、大まかなスケジュール感をつかんでおきましょう。

相続税の申告・納付期限(原則10か月以内)

相続税の申告と納付は、相続の開始があったことを知った日の翌日から原則10か月以内に行う必要があります。期限を過ぎるとペナルティが生じる場合があるため、早めの準備が大切です。

相続登記の申請期限(原則3年以内)

義務化された相続登記についても、取得を知った日から原則3年以内という申請期限が設けられています。期限内に正当な理由なく申請を行わない場合、過料の対象となる可能性があります。

コワニ
悲しみの中で手続きに追われるのは、精神的にも大きな負担になります。期限があると聞くと焦ってしまいますが、まずはやるべきことを把握するだけでも心の余裕が生まれます。ご自身のペースで少しずつ進めていきましょう。。

税金で迷ったときの相談先

税理士・税務署など専門家に相談を

ここまで不動産相続にまつわる税金の基本を解説してきましたが、実際の相続では、財産の内容や家族構成によって取り扱いが大きく変わります。相続税の具体的な計算や特例の適用可否、申告手続きなどについては、税理士や税務署といった専門家・専門機関に相談するのが確実です。個別の判断が必要な場面では、早めに専門家の力を借りることをおすすめします。

まとめ

不動産を相続したときには、財産を受け継ぐことにかかる「相続税」と、名義変更にかかる「登録免許税」という2種類の税金が主に関係してきます。相続税には基礎控除があり、財産が一定額以下であればかからないこと、不動産には独特の評価方法があること、そして税負担にかかわる特例や各種の期限があることを押さえておけば、相続と向き合う際の第一歩になります。制度の全体像を理解したうえで、迷ったときには専門家に相談し、落ち着いて手続きを進めていきましょう。

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